「大阪都構想」という大きなビジョンを掲げ、その為に政党を立ち上げ、大阪府知事になり、さらに大阪市長となり最終的に住民投票までたどり着いた橋下氏の「実行力」について書かれたリーダーシップの本。
こんな人におすすめ
・部下との人間関係に悩んでいる
・問題を先送りしてしまう
・大きな組織のリーダーだ
・抵抗勢力がある
読むとこう変わる
・部下との関係が変わる
・意思決定出来るようになる
・実行力がつく
・問題解決できるようになる
橋下徹さんの紹介
橋下徹さんは、現役の弁護士さんです。2008年38歳の時に大阪府知事に就任、2011年42歳の時に大阪市長に就任し、数々の改革を成し遂げてきた方です。2015年「大阪都構想」住民投票で否決されたのを理由に、現在は政界を引退されています。
↓橋下徹さんの本
「実行力」を読もうと思ったきっかけ
アマゾンのランキングに掲載されていたので。世間の人はどんな本に興味を持っているのか知りたかった。政治のことは何も分からないし、橋下徹さんの過去の実績もほとんどよく知らないが、興味があったので読んでみた。
「実行力」の要約
はじめに
第1章 まずは、人を動かす
第2章 本当に実行すべき課題はどう見つけるか
第3章 実行し、信頼される人の条件とは
第4章 実行のための「ビジョン作り」と「チーム作り」
第5章 上司を動かし、提案を通す
第6章 情報を制する者は、組織を制す
第7章 日本と大阪を「実行できる組織」にするために
第4章 実行のための「ビジョン作り」と「チーム作り」
物事を実現させるためのプロセス
1.ビジョン・戦略を立てる(抽象的なもの)
2.ビジョンを具体化して実行プランを作る
3.プランを実行するための組織体制を作る
1.ビジョン・戦略を立てる
大きな方針やビジョン・戦略を立てるのは、組織のトップ(最高責任者)の仕事。ビジョンは分かり易く。
2.ビジョンを具体化して実行プランを作る
最高責任者は、プロジェクトチームのリーダーを任命し、プロジェクトチームのリーダーは、中心となって実行プランを作成する。実行プランは、最高責任者とプロジェクトチームとのやり取りの中で、改善していく。プロジェクトチームの仕事はここまで。
ここでのポイント:
プロジェクト内では、よりよい案にするべく、反対意見も積極的に出してもらい、活発に議論を進めるが「最終的に決まったことには従う」というルールには、皆に守ってもらう必要がある。その為に、プロジェクトチームのリーダーには、物事を決定する権限を与えること。
3.プランを実行するための組織体制を作る
プロジェクトチームの作った実行プランを、実際の組織である現場サイドで行う為に、必要な組織体制を最高責任者が整備する。
ここでのポイント:
意思決定と執行(実行)は別。2つの組織はきっちりと分ける必要がある。プロジェクトチームと現場をごちゃまぜにしない。この2つの組織を整備するのも最高責任者の仕事。
行政に例えると、ビジョンは政党の党首が作り、実行プランは党首と党員である政治家が相互にやりとりして決める。実行可能なプランにするためには、法律を整備したり、様々な問題を解決する必要がある。
現場サイドである官僚組織が、トップの決めたプランに基づき仕事を進める。
政治家(プロジェクトチーム)と現場(官僚組織)それぞれに意思決定者を配置する。その仕組みづくりは、党首(最高責任者)の仕事。
イギリスEU離脱の問題点
ビジョンは作ったが、実行プランがないまま、いきなり国民投票をしてしまった。着地点は先に決まったものの、肝心の実行プランがないので、混乱している。
トランプ大統領の優れた点
ビジョンに相当する選挙公約を、A4サイズの紙に書き、ムニューシン財務長官に渡した。ワシントン財務省が税制大綱(実行プラン)を作成。トランプ大統領との相互やり取りの調整後、法案を可決。ワシントンの政府組織(現場サイド)が実行。
「実行力」を読む前の私
橋下さんが大阪府知事となり活躍したということは知っていたが、具体的なことは何も知らなかった。一連の活動の理由が「大阪都構想」という大きな目標を達成する為だったと知り、やり抜く意志の強さと信念の人だなと思いました。
「実行力」の感想
弁護士さんならではの視点・発想だなと思う箇所がいくつもあった。例えば、橋下徹さんの決断の方法として「心証で決める」というのがあるが、心証とは、双方の議論を重ねてその上で、ストンと腹に落ちる「感覚」で選ぶという意味です。
これは裁判官が行っている決断の方法のひとつだそうです。裁判官という理屈の世界で生きている人が「感覚」で選ぶというのは意外な感じがしますね。
橋下さんが行ってきた「大阪都構想」の取り組みは、まるで戦国時代の国取り合戦みたいだな~と思いました。大勢の人の意見を取りまとめ、ビジョンを実現することは、ものすごいエネルギーが必要だと思いました。
ビジョンや自分の軸を持つには
橋下さんは、普段から本や新聞を読むときは「自分ならどう思うか、どう考えるか」を考えることを意識しているそうです。毎日毎日行っているそうです。誰かに聞かれたときに、自分の考えや意見を述べることが出来るようになるためには、毎日の練習が必要とのこと。
これは私も真似しようと思いました。自分なりに、この書評ブログを見返してみても、要約は書いていますが、肝心の「自分はどう感じるのか?どう思うのか?」が書かれている部分が少ないと思います。これは何故かというと、普段から批判が怖くて自分の意見を言うことを避けてきたからです。
そうしていくうちに、自分がどう感じるのか?が分からなくなってしまいました。これからは、インターネットで情報発信する人口がますます増えていくと思います。他のサイトに書かれていることをリライトしているだけでは、誰も読んでくれません。自分の意見や感想は、それだけでオリジナリティがあります。
オリジナリティがある記事は、検索エンジンの評価も高まります。今後少しずつ、過去記事も感想を書くことを中心にリライトしていこうと思いました。
橋下徹さんと「NEW POWER」マトリックス
橋下徹さんのリーダーシップを「NEW POWER」マトリックスに当てはめると、「チアリーダー」的要素を持つ「懐柔者」かな、と思いました。
・橋本徹さんをトップにした意思決定ダウンロード型
・情報は、府長・市長時代共に職員全体にオープン
・「スーパー参加者」に該当する「プロジェクトチーム長」に一部権限を委譲
大きな組織の中で、ひとつの物事をまとめ上げるには、OLD POWER 的な「トップが意思決定をする」という要素が不可欠なので、これは仕方がないのかな、と思いました。
「実行力」から得た気付き
リーダーの勉強の仕方 64ページ
リーダーは、専門的な知識を深く掘り下げるような勉強ではなく、問題点がどこにあるのかを探るための勉強をする。専門的な知識は、現場サイドに任せればいいので。
「部下が出来ないことをするのがリーダーの仕事」とのこと。知識を増やすためではなく、問題の解を見つけるために本を読むという視点に共感した。
実行力=決める
問題を先送りにしない為には「決めて責任をとる」ことが大切。決定が難しいときに橋下さんが行っていた3つの方法。
・右か左かどちらかに決める。(どうすればいいのか分からなくても)
・部下の両方の言い分を聞いて、心証で決める。
・いくつかの案を、比較優位で決める。
決めれば、問題解決の可能性は高くなるが、失敗したときに、人は責任をとるのが怖くて、決断せずに先送りにしてしまう。
「失敗しても死ぬわけじゃない」と橋下さんは言うが、橋下さんは府知事や市長をクビになっても、弁護士やタレントのお仕事が残るが、一般の会社員はそうはいかないので、先送りする人の気持ちも分からなくはない。
比較優位の思考 155ページ
どの案にも問題点はある。決める際には、どちらの方がより良い案件かということにフォーカスする。つまり「選んだ案件の問題点には目をつぶる」という発想。完璧な案を探していたら、いつまでも決断できない。
「問題点には目をつぶり、いくらかましな方を選ぶ」という考え方は初めて知った。確かに、全く問題のない案件を求めてたら、そんなものは無いので、結果は決断できず先送りになってしまう。これから私も決断するときは、この発想で行こうと思いました。
「実行力」を読んだ後のTODO
・問題を先送りにするのをやめる。
・とにかく決める。
・過去記事に感想を追加する。