「これからの会社員の教科書」は、社会人生活20年の田端さんが、入社1年目の新社会人に向けて書いた本です。仕事のプロとして主体的に働き、充実した会社生活を送るためのビジネススキルやマナーが書かれています。
田端信太郎さんの紹介
NTTデータに新卒で入社。リクルートへ転職し、フリーマガジン「R25」を立ち上げる。2005年にライブドアに入社し、livedoorニュースの統括を務めた。ライブドア事件後に執行役員メディア事業部長に就任し、ライブドア事件後の経営再生に関わった。
2010年からコンデナスト・デジタルで、デジタル事業開発を担当するカントリーマネージャーに就任。2012年には、NHN Japan(現 LINE)の執行役員に就任。その後は、上級執行役員 法人ビジネス担当として、広告事業の責任者を務め、LINEを株式上場に導く。
2018年2月末には、株式会社ZOZO執行役員 コミュニケーションデザイン室長に就任。2019年12月にZOZOを退社し、2020年から株式会社レバレッジのマーケティング戦略顧問に就任。オンラインサロン「田端大学」の塾長も務めている。
↓田端信太郎さんの本
「これからの会社員の教科書」の要約
はじめに
Chapter1「人並み」を目指すか、「プロ」を目指すか
Chapter2「伝え方」次第で結果は180度変わる
Chapter3「単純作業」に仕事の真髄がある
Chapter4「根回し」抜きに大きな仕事はできない
Chapter5「社交スキル」は一生モノの武器になる
Chapter6「トラブル対応」は鮮やかに
Chapter7「情報収集」がきみのオリジナリティをつくる
Chapter8「経済・法律・歴史」はビジネス世界の共通言語
Chapter9「働き方・キャリア」の最適解を導く
Chapter10「パフォーマンス」をさらに高める
おわりに
Chapter1~5
仕事への責任感、仕事の受け方、言葉の選び方、情報の伝え方、質問の仕方など。単純作業を高いレベルで行う、単純作業から得られるもの、仕事を覚える時に意識すること、会議の参加の仕方など。
根回しについて。懸念事項への時前準備、関係者への連絡の仕方、時前ヒヤリング、派閥との距離感、チームへ貢献する仕事の仕方など。服装や礼儀、人に接する態度、接客・接待の仕方など。
Chapter6~10
ミスをしたときの態度、得意先へのお詫びの仕方など。現場や体験から得る情報の大切さ、インプットとアウトプット、英語や資格について。経済や法律などの基礎知識を身につける、転職への見極め方、倫理観、仕事へのエネルギーの注ぎ方など。
最終決定には従う
「決定されるまでは自由に議論してもいいけれど、ひとたび結論が最終決定されたら、その結論にはきちんと従う」72ページ
企業のようなトップダウン型の集団組織の場合、 トップが最終的に決めたルールには従う必要があります。
橋下徹さんも、全く同じことをおっしゃっています。「最終的に決まったことには従う」というルールを守れない職員には、人事権を行使すると書いてあります。
根回しについて
正しいことを実現したいなら、それなりの「段取り」が必要です。適切な順序で適切に動く必要があります。82ページ
最終決断が下されるまでは、活発に議論してかまわないということですが、自分の主張を通したい場合、根回しが必要になってきます。
伊藤羊一さんも著書の中でおっしゃっています。1分で話すプレゼンを成功に導くためには、根回しを含む準備が大切。理由は相手の感情を動かす必要があるためです。
仮に自分の主張が正しかったとしても、それだけでは周囲は認めてはくれません。
会議で多数決をとらないといけなかったり、役員の決裁が全部揃わないといけなかったりする。それがビジネスのルールです。82ページ
会議で決裁を通すためには、会議の前に、反対意見に対する対策を準備しないといけません。
意思決定の会議の前に、その場で出るであろう質問、指摘されそうな懸念点を事前にすべて想定し、誰がどういう角度から意見を出してきそうかをシュミレーションしましょう。そのうえで、反論する材料、ロジック、味方になってくれそうな人も把握しておきましょう。会議で不意打ちを食らわないためです。84ページ
筋を通す
最終的な決裁者からOKをもらうためには、まず誰に話をつけにいくか。そこを把握しなければなりません。92ページ
相手のメンツをつぶすような行為をすると嫌われます。話を持ち掛けるにしても、順番やタイミングをはずすとうまくいきません。
例えば、一緒に仕事をする現場を飛び越えて、直接決裁者にOKをもらったとしても、その後、現場との仕事がうまく行かなくなったりします。
「社内政治」的な対人コミュニケーションには唯一無二の正解というものはありません。とにかく相手へのイマジネーションを持つことが大切なのです。87ページ
単純作業のとらえ方(考え方)
誰でもできる仕事にこそチャンスは眠っています。ほとんどの人が手を抜いてやるからです。そういう単純な仕事ほど、上司の期待値を超えてやればいい。超えればそれがきみのオリジナリティになります。55ページ
期待値を超えるとは、上司やお客さまが求めるものを超えるという意味。
実際に自分の手で、現場で単純作業をしていると、肌感覚で、いろんなことが分かるようになります。
田端さんは、リクルート時代に上司から、紙媒体の広告を徹底的にリサーチするように命じられます。沢山の雑誌を眺めているうちに、雑誌に掲載されている広告の、ある規則性に気付きます。
伊勢丹の元カリスマバイヤーの故 藤巻幸夫さんは、現場で毎日欠品確認を続けるうちに、一口にカシミヤといってもいろいろな状態のものがあり、高級カシミヤとそうでないカシミヤとの区別が分かるようになったそうです。
単純作業をこなす中で、現場を経験していなければ分からない、こういったことがその後の仕事に大きな影響を与え、他人との差別化になっていくんですね。
「これからの会社員の教科書」の感想
本の内容は、職場の先輩が後輩に教えるような口調で書かれています。会社生活の中で、自分の経験を通して学ぶか、同じ部署で働いている先輩に教えてもらうかしかないような内容のことが、この本で学べます。
仕事は、周囲との調和も考えていく必要があります。 会社全体、チーム全体の生産性を高めるために、比較優位で能力を、それぞれのメンバーが磨く必要があります。
チームのためにこそ、自分の得意な分野を伸ばすことです。105ページ
比較優位とは、自分が比較的得意な分野に特化することで、全体の生産性を上げるという考え方です。ココナラ社長の南さんの本にも書かれていました。
もし、きみに本当に実現したい理想があるなら、きみは仲間を増やす必要があります。88ページ
大きな仕事というのは、一人ではできないためです。
「これからの会社員の教科書」を読んでいるときに、「あれ、これどこかで読んだな」という箇所が何度も出てきました。他の人も同じことを言うということは、それだけ大切なことなんだな、と感じました。
会社の人間関係というと、私達は「面倒くさい」とか「ストレスに感じる」とか「あの人のせいで私はこんな目にあっている」とか受け身なものの見方で、ネガティブに捉えがちです。
田端さんの場合は、すごく戦略的で主体的、前向きな捉え方をします。
その状況の中で「こうやったらこう思われるに違いない」と想像して、どうやって相手に「こいつやるな!」「一味違うな!」と思わせるかが重要です。125ページ
自分自身で、目の前の現実を動かしていくという感覚があるんだと思います。
「ここが勝負どころだな?」と心の声がして、自分で気づけたとしたら、その時点できみには「勝負センス」があります。半分勝ったも同然です。20ページ
人間関係というものは、組織の上にいけばいくほど重要な意味を持つようになります。
「何を言ったか」ではなく「誰が言ったのか」のほうが重要だったのです。
「この人が言うなら間違いないだろう」「この人からくる仕事はすべて受けよう」。これは信頼関係がなければできないことです。68ページ
これは、相手を自分の思い通りにコントロールするのとはニュアンスが違います。仕事をするうえで、相手との信頼関係が構築できていれば、物事はすんなりと運びます。
人間関係というものを前向きに捉えることが大切だと思いました。信頼されるような自分になる、人としての自分を育てるということも大切だと思いました。
特に印象に残ったのは、65~69ページの「ビジネスの本質は人と人」の項目です。人に信頼されるには、自分の人としての人間性が本質的に大切になってきます。
この本を読んで、仕事をする上で、人との信頼関係を築くことがとても大切だということを再認識しました。
ビジネスで、人との信頼関係を作るには、この本に書かれているような礼儀作法という定型があるので、まずは素直に書かれていることをひとつひとつ実践してみることが大切かな、と思いました。
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