「マイ・ストーリー」は元ファーストレディーであるミシェル・オバマさんの自伝です。スラム街で育った黒人の女の子が名門大学に入り、弁護士になり、いくつかの幹部職を務めた後、ホワイトハウスにたどりつくまでの実話です。
ミシェル・オバマさんのバイオグラフィー
父方の先祖(祖父の祖父)がサウスカロライナ州出身の奴隷で、母方の先祖(祖父の祖父)がジョージア州出身の奴隷というルーツを持ちます。ミシェルさんの家族は、母の叔母にあたる人の家の2階に間借りをして暮らしていました。
ミシェルさんの母は、子どもが小さいころは専業主婦でしたが、ミシェルさんが高校生の頃から、秘書として働き出しました。父は多発性硬化症という難病でボイラー管理の仕事をする市の職員という、どちらかというと貧しい中流家庭です。
元々教師になりたかったという教育熱心な母親のおかげで、ミシェルさんと2つ年上の兄クレイグさんは小さなころから成績優秀でした。高学歴の子どもを育てたいという親の希望もあり、ミシェルさんは、兄も学ぶ「プリンストン大学」に入学し、晴れて弁護士となります。
↓ミシェル・オバマさんの本
本を読んで分かる二人の性格
ミシェル・オバマさん
几帳面。自尊心が強い。権威や圧力に屈せず誰に対しても自分の意見をはっきり言う。負けず嫌い。子供好き。寂しがり屋。大勢の人と過ごすのが好き。だらしない人が嫌い。せっかち。怒ると感情的になる。目的達成型。計画を立てスケジュールをきちんとこなす。典型的な黒人エリートタイプ。
バラク・オバマさん
人生の早い段階から世の中を変えたい、社会の役に立ちたいという極めて強い意志を持つ。超がつく目的達成型。社会的地位や名声にはさほど興味がない。熱心な読書家。まじめ。優雅な物腰。誰とでも仲良くできる。人を惹きつけるカリスマ性がある。整理整頓が苦手。時間にルーズ。マイペース。のんびり屋。怒ると理論で相手を説得しようとする。
バラク・オバマさんは大学卒業後、いったん社会に出て数年間複数の仕事を経験した後、「ハーバード・ロー・スクール」に入ります。「ハーバード・ロー・レビュー」の編集長に選ばれるなど、在学中からその存在を世間に認められていたバラク・オバマさんでしたが、条件の良い就職先には全く興味を示さず、
大学卒業後には、人権弁護士として活動するつもりでいた。また、アメリカの人種問題についての本を書くことを考えていた。175ページ
自分が世界に変化をもたらすことができる
というあまりにも強い自信があるために、ミシェル・オバマさんは、彼と自分を比べて気後れするほどだったと述べています。176ページ
全ての判断基準、行動基準が「社会貢献」という、明確な目的意識からなっています。133,143,157ページ
この強い意志と自信(使命感)こそが、バラク・オバマさんのカリスマ性の源となっていると私は感じました。
「マイ・ストーリー」の要約
はじめに
BECOMING ME
BECOMING US
BECOMING MORE
エピローグ
BECOMING ME
1960年代後半(ミシェル・オバマさん4歳?)イリノイ州シカゴのスラム街 サウス・ショア地区のサウス・ユーックリッド通りに面した一軒家で暮らす幼少時のことや、ブリン・マー幼稚園、ブリン・マー小学校、ホイットニー・ヤング高校、プリンストン大学、ハーバード・ロースクールを経て、弁護士になり、シドリー&オースティン法律事務所でバラク・オバマさんと出会い、付き合うまでのこと。
BECOMING US
婚前のバラク・オバマさんとの交流や、親友の死、弁護士としての仕事、悩んだ末の転職や、実父の死、結婚生活、二人の娘との生活、政治家として超多忙なバラク・オバマさんとのすれ違いと葛藤、アメリカ大統領選挙でのミシェルさんの活動と受けたバッシング、バラク・オバマさんが連邦上院議員に当選し、アメリカ大統領選挙に立候補し、当選するまで。
BECOMING MORE
ホワイトハウスでの生活、シークレットサービスや厳重な警護の様子、ミシェルさんの食育活動、エリザベス女王との謁見、マイノリティ女学生たちとの交流、ネルソン・マンデラ氏との面会、負傷した兵士の慰問、大統領選挙2度目の再選、黒人にまつわる理不尽な事件、夫や二人の娘のこと、トランプ氏アメリカ大統領当選まで。
「マイ・ストーリー」の感想
印象に残ったシーンをいくつか解説と共にご紹介します。
高い理想を持った両親
ミシェル・オバマさんのご両親は、聡明で教育熱心な人達で、ミシェルさんは幼稚園に入る前から既に基本的な単語は読むことが出来ました。
教室に設備を導入するための資金集めに尽力し、先生たちを呼んで夕食会を開き、成績のいい生徒のための多学年クラス設置を求めて働きかけた。65ページ
一番心強い味方である私の母。母が目を光らせてくれたおかげで、私は陰気な二年生のクラスで萎れてしまわずにすんだのだ。477ページ
ミシェルさんの母親は、PTA会員として学校に積極的にかかわっていました。勉強が出来る子供だけを集めて良い環境の中で勉強が出来るように仕組みを変えたりもました。37ページ
ミシェルさんの兄のクレイグさんが大学に進学するとき、バスケットボールでオファーを受けた大学に進もうと考えたのに対し、両親は断固として反対し、一流大学へ進むことを促しました。78ページ
ミシェルさんの高校時代、費用が出せる家庭を対象とした任意参加のフランス研修旅行も、両親は娘を参加させました。86ページ
両親と子供との間には、深い信頼関係があり、ミシェルさんとクレイグさんは、何でも母親に相談します。ティーンエージャーの頃、クレイグさんはガールフレンドから誰もいない自宅に誘われたとき、外泊すべきかどうか母親に助言を求めているほどです。70ページ
ミシェルさんとクレイグさんの社会的な地位は、もちろん本人の努力あってのことですが、それ以外にもこの聡明な両親やその環境に育てられたおかげだと私は思います。
私の一番重要な部分は表面的な功績ではなく、それを支える土台、 つまり、長年かけて私を鍛えてくれたものや、私に自信を抱かせてくれた人たちにあるのだ。私はそういう人たちみんなを覚えている。前に進むよう背中を押してくれた人たち。将来で必ず出くわすであろう侮辱や冷遇に、 黒人でも女性でもない人を優先するように構築された環境に負けない私を育んでくれた人たち。477ページ
ミシェルさんはそのことをちゃんと自覚しています。
学生時代の住環境と家族
はっきりとした時期は不明ですが、おそらく兄のクレイグさんが高校生の頃、彼は精神面で不安定になる時期がありました。51ページ
ミシェルさんたち家族が住んでいた地域は治安の悪化が進み、火事が多く発生し、もし自分の家が火事になったら、体の不自由な父をどうやって救うかということで頭を悩ませたクレイグさんは、家族で避難訓練をすることを提案します。
後にバスケットボール選手として活躍するクレイグさんですが、その頃はまだ体格もそれほどではなく、2階から1階へ、燃え盛る炎の中、80キロある父親を運ぶことがどれだけ大変かというのが、クレイグさんの心配の種だったんですね。
どれだけいざという時の為に備えても、「その時になってみないとどうなるか分からない」という現実に対し、他の家族は、「先の事は考えないようにする」という行動をとるんですが。28ページ
クレイグさんだけは、長男である自分がしっかりしなくてはと思う気持ちから、何かをしないではいられない、その気持ちが強く伝わってきて共感できました。
バラク・オバマさんの時間感覚
ハワイののどかな陽気の中で育ったせいかも知れないけれど。
バラク・オバマさんの時間感覚がちょっと問題あり。(^_^;)
マリアちゃんが4歳、サーシャちゃんが1歳の頃。
この頃バラク・オバマさんは州上院議員としてスプリングフィールドで単身生活していたようで、毎週木曜日に自宅に帰るのを楽しみにしていたのですが。
「今帰ってる」はバラクの果てしない楽観主義から生まれ、帰りたいという彼の気持ちを表す言葉にすぎず、いつ家に着くのかを示しているわけではないとやがてわかっていった。「もうすぐ着く」も、地理的な位置ではなく彼の心理状態を表しているだけだった。266ページ
ミシェルさんに「カエルコール」してから、その後同僚と45分立ち話したり、「ジムで運動してから帰る」ことをうっかり言い忘れたり。
家に帰るのを喜んでた割には、なかなか帰ってこない。(; ・`д・´)
ミシェルさん、キャンドル灯して、晩御飯食べずに待ってるんだけど。
恋人時代も、毎回デートに遅れてたし。242ページ
大統領現役時代はどうやったん?とふと思い、インターネットで検索したら。
案の上、伊勢志摩サミットで遅刻。その理由は、ジムで汗を流していたから。
またもやジム。(;´・ω・)
いつでもできる運動をなぜ、お国の大事な予定の前にやる?
ミシェル・オバマさんの心境
ミシェル・オバマさんは幼いころ、親戚が近くに沢山住んでいた為、いつも周囲には家族や親類がいるのが当然の環境で育ちました。
例えるならば、ローカルなヤンキー家族。イベントや行事になると親類縁者みな集まる、みたいな。( ˘•ω•˘ )
その為、独りぼっちになると精神的に情緒不安定になる傾向があります。
政治家というのは常に家にいないことが多く、そのことがミシェルさんにとってはすごく辛かったようです。267ページ
エリザベス女王陛下の人柄
陛下は列をなす人々に次々と短く親切な、けれどそれ以上の会話には発展しないような言葉をかけて、人の流れをスピーディにさばいていた。一方バラクはといえば、愛想のよい気さくな態度で、ほとんど自分から相手に雑談を持ちかけ、人々の質問にのんびり答えている。それで人の流れを完全に混乱させていたのだった。548ページ
主催者として来客を迎える歓迎の列に立った時のエピソード。女王陛下は、とても頭の良いスマートな方で、一方のバラク・オバマさんはやっぱりここでもマイペースぶりを発揮。
エリザベス女王陛下がミシェルさんに、履いているハイヒールの話題を持ちかけて共感を誘い、初対面のミシェルさんの緊張を解くシーンがあるのですが、
ミシェルさんはその時、女王陛下の背中に片方の手を回し、心が通じ合ったと感じた自分の気持ちを正直に表現します。
女王陛下は、ミシェルさんを引き寄せ、手袋をはめていた手をそっとミシェルさんの腰に回しました。424ページ
女王陛下は思いやりがあって、相手の好意を暖かく受け取る心の余裕のある素敵な方です。このシーンを読んで私も女王陛下のことが好きになりました。
しかし、女王陛下の体に触れることはタブーとされる行為で、これが後にメディアに叩かれて話題となります。
ミシェルさんの人柄
ミシェルさんは、ファーストレディーという型にはまらないおてんば気質で、この本を読んで、私は彼女にとても親近感がわいてきました。
エリザベス女王陛下にカーディガンを着て会ったことをメディアに批判されたり。(カーディガンはさすがにまずいらしい。)
シークレットサービスを出し抜いて、娘のマリアと二人で自宅から脱出しようとしたり。
後ろからは、私たちを追って階段を下るエージェントの靴音が響いてきた。
大理石の階段を降りて、赤いじゅうたんを越え、ジョージ・ワシントンやベンジャミン・フランクリンの胸像の角を曲がり、キッチンを通り過ぎ、 そうして気づけば、私たちは外にいた。湿った夏の空気が顔にあたる。芝生のあちこちに蛍の光が瞬いているのが見えた。543ページ
アメリカの50の州で同性婚が認められた日に、ホワイトハウスが虹色のイルミネーションでお祝いするのを自宅の外から眺めたい衝動を素直に行動に移すミシェルさん。
虹色のイルミネーションと蛍の光が瞬くシーンが幻想的で、私のお気に入りです。
大統領一家のセキュリティ
サーシャが友達のジュリアの誕生日パーティーに呼ばれた時、その家の人に「時前にシークレットサービスがお宅を訪れてセキュリティ上の点検をする必要があるんです」と伝えるのは気まずかった。我が家に遊びにきてくれる子たちの送り迎えのために、保護者の社会保障番号が必要だと告げるのもやはり気まずい。411ページ
子供の交友関係でさえ、厳重なセキュリティ。マリアちゃんとサーシャちゃんは、他人の車に同乗することはセキュリティ上出来ません。通学は防弾ガラスの入った警護車列で、登校中は武装したシークレットサービスの一団に付き添われ、授業中も数名のエージェントが教室の外にたって警護にあたります。
ホワイトハウスにはトルーマン・バルコニーという南庭に面した美しいアーチ型のテラスがある。我が家の誰かがこのトルーマン・バルコニーに出たいと思ったら、まずシークレットサービスにその旨を伝えなければならない。すると彼らは二十四時間いつでも即座に、バルコニーが見えるEストリートの一区画を封鎖し、通りに面したゲート付近にいる大勢の観光客を立ち退かせるのだ。434ページ
自宅でさえ、このありさま。
オバマ夫妻の夫婦仲
オバマ夫妻はとても夫婦仲が良く、大統領になる前は、毎週二人でデートを楽しんでいました。大統領になってから、ニューヨークで食事とお芝居のデートの様子も私の好きなシーンです。
デートがしたいというミシェルさんの可愛いお願いに応えるバラク・オバマさん。出かける前の、そわそわとおめかしをするミシェルさんの様子。
私は薄暗い明りの下、小さなテーブル越しに夫とおしゃべりをするのが好きだ。これまでも、そしてきっとこれからも。バラクはとても聞き上手だし、気が長くて思いやりがある。彼が頭を後ろに反らして笑う姿が、私は好きだ。その瞳に映る明るさも、芯の部分にある優しさも。431ページ
仲の良い夫婦がデートするという、たったこれだけのことが、アメリカ大統領となると、
ニューヨークの街の交通網を封鎖、レストランに同席する民間人の磁気探知棒での身体検査、劇場前のブロック全域封鎖、劇場に入場するすべての民間人は金属探知ゲートを通らなければならない。
という、非常に物々しい事態になってしまいます。
感想まとめ
オバマ夫妻はとても人間味があって、私たち一般人とそれほど変わらないように思え、親近感がわきました。
私たちと同じように、今の仕事が自分に合っているのかどうか悩んだり(180ページ)、夫と意見の食い違いで喧嘩したり(266ページ)。
最後に
人種差別主義者による銃乱射事件の葬儀の席で、オバマ大統領が列席者を促すように、ゆっくりと魂のこもった「アメイジンググレイス」を歌うシーン。539ページ
理不尽な暴力に対して、マイノリティ人種は互いに寄り添うしか方法がない。
バラク・オバマさんの原動力とは、長い歴史の中で、理不尽さに手も声も出せなかった自分のルーツ。その現実を変えたいという強い気持ちから来るものなんだということが強く伝わってくるシーンでした。
日本人には到底理解できない現実の中で彼らは暮らしています。私たち日本人はとても恵まれていると感じました。
この本は579ページあり、文字も細かく、読むのにかなりエネルギーが必要です。
私の書評で、ミシェルさんの魅力が伝わればいいなと思います。
オバマ夫妻のウェディングソング「You and I」216ページ
ミシェル・オバマさんの母方の、音楽好きな祖父から幼少時代に贈られた、スティービーワンダーのアルバム「トーキング・ブック」に収録されている曲。
↓You and I が収録されているアルバム
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