インターネットを通じて個人がつながり「ミーム」という現象が起きる。「NEW POWER」とはその潜在的なエネルギーを指す。本書では「NEW POWER」の特徴や成功事例、使いこなす為のスキルが学べる。
こんな人におすすめ
・ミームをビジネスに活用したい人
・自己実現したい人(ミームを起こしたい人)
・リーダーシップについて学びたい人
・プラットフォームを運営している人
読むとこう変わる
・新しい形のリーダーになれる
・プラットフォーム・オーナーになれる
・新しいコミュニケーション・スキルが学べる
・新しい集客方法が学べる
ジェレミー・ハイマンズさんの紹介
ハーバード大学やシドニー大学で学び、マッキンゼーで戦略コンサルタント、オックスフォード大学で研究員を経て現在は「パーパス」というプラットフォームを運営されている経営者です。「ゲットアップ」「アヴァース」などの共同創設者。「NEW POWER」は、TEDトークで年間トップトークのひとつとなり、CNNの「世界を変えるトップ10アイデア」に選ばれました。
ヘンリー・ティムズさんの紹介
「ギビング・チューズディ」の共同創始者。「92ストリートY」の社長兼CEO。スタンフォード大学フィランソロピー・シビルソサエティ・センター客員研究員であり、世界経済フォーラムグローバルアジェンダ会議メンバーです。
著者のお二人は、実際にニューパワーを利用してムーブメントを起こし社会的な活動に昇格させた実績をお持ちです。
ジェレミーさん、ヘンリーさんの本
NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ
「NEW POWER」を読もうと思ったきっかけ
8月20日放送のモーサテのリーダーの栞コーナーで、アコージャパンのエリック・ディグネジオ社長の座右の書として紹介されていたので読んでみようと思った。
「NEW POWER」の要約
第1章 ニューパワーの世界へようこそ
第2章 オールドパワー vs ニューパワー
第3章「ミーム」を投下せよ
第4章「群衆」をつくれ
第5章 ニューパワー・コミュニティという武器
第6章 影響範囲を「拡大」する
第7章 がっちりつかんで離さない
第8章 オールドパワーから「ジャンプ」する
第9章 新しい「リーダー」になる
第10章 パワーを「ブレンド」する
第11章「未来」の波に乗る
「ニューパワー」とは、新しい形の「潜在的なエネルギー」を指します。反対語として「オールドパワー」があります。
オールドパワーとは
貨幣、少数の人が握る、ダウンロード型、リーダー主導型、閉鎖的。
社長と社員、上司と部下のような主従関係や、一方的に情報や商品を消費者に提供するスタイルのビジネスなど。群衆の頂点に立つ権力を持ったリーダーがいて、トップダウン方式で、方法や規範などが下される。上層部の情報は閉鎖的で、一般には公開されない。
ニューパワーとは
潮流、多くの人が生み出す、アップロード型、仲間主導型、開放的。
権力者はいないか、いても表には出ない。情報はオープンで、個人が同調して大きな群衆となり、ひとつのムーブメントを起こす。権力者はそのムーブメントの創始者ではあるが、活動は個々人の主体性に任される。発端からアレンジされて、どんどん違う方向に行ってしまうこともある。
ミームとは
主にインターネットのSNSなどを通じて、個人同士がつながり、情報やアイデアなどがどんどん拡散されて広がっていく様子を指します。
プラットフォームとは
フェイスブックやツイッターなどのSNS媒体の他、アップルやウーバーなどの企業、ウィキペディアなどの非営利団体、トランプ大統領など個人を指す場合もあります。
ニューパワーを使った流れ
社会活動がしたいという欲求があって、その為のプラットフォームを作ると決める
↓
身近な人々に情報を拡散する(ミームを投下する)
↓
ミームが大きなムーブメントに成長する
↓
プラットフォーム・オーナーは、スーパー参加者に、自主的な運営を任せる
↓
プラットフォーム・オーナー、スーパー参加者、参加者との相互やりとりで活動を活発に行う
ニューパワー・コミュニティの3つの当事者
ニューパワー・コミュニティでは、主に3つの当事者の存在があります。
・プラットフォーム・オーナー(プラットフォーム・スチュワード)
・スーパー参加者
・参加者
プラットフォーム・オーナーとは、プラットフォームを運営している所有者です。スーパー参加者とは、プラットフォームに深く関わっている人です。スーパー参加者は、社員ではないのに無給でプラットフォームの為に貢献したりします。スーパー参加者はプラットフォームの資産価値を高めるような行動をしたりします。
ヤフー知恵袋で例えると、ヤフー知恵袋はプラットフォーム・オーナーで、ヤフー知恵袋で質問する人や答える人は、スーパー参加者であり、ヤフー知恵袋で回答をただ読む人は参加者です。
トランプ大統領で例えるなら、トランプ大統領がプラットフォーム・オーナーで、アメリカ共和党員のトランプ支持者の政治活動に積極的に参加している人がスーパー参加者で、ただのトランプ支持者が参加者です。
ニューパワー・マトリックス
ニューパワーマトリックスには、2つのモデルと2つの価値観があります。
クラウド(ニューパワーモデル・ニューパワーの価値観)
懐柔者(ニューパワーモデル・オールドパワーの価値観)
チアリーダー(オールドパワーモデル・ニューパワーの価値観)
キャッスル(オールドパワーモデル・オールドパワーの価値観)
クラウド
香港のデモが最も近い例だと思います。創始者がいるはずですが、表には出てこない。スーパー参加者に該当する小さなコミュニティリーダーが存在します。インターネットを使ってミームを起こし、大きなムーブメントに成長しました。人々は「参加したい」「つながりたい」という欲求で自由に自発的に参加しています。
懐柔者
フェイスブックが良い例です。フェイスブックというプラットフォームでは、参加者は自発的に参加し情報を発信出来ますが、フェイスブック内でのルールに従う必要があります。フェイスブックというプラットフォームの情報は非公開となっていて、マークザッカーバーグが権限を持っています。
元大阪府知事の橋下徹さんは、チアリーダー的要素を持つ懐柔者だと私は思います。
・橋本徹さんをトップにした意思決定ダウンロード型
・情報は、府長・市長時代共に職員全体にオープン
・「スーパー参加者」に該当する「プロジェクトチーム長」に一部権限を委譲
チアリーダー
ホリエモンの主催している「HIU」が最も近いと思います。「HIU」では、ホリエモンが提示した事業プランを自発的に手を挙げたメンバーが実践します。事業プランはメンバー内に公開され、メンバーはその後事業内容をアレンジすることもあります。無料でホリエモンにサービスを提供するメンバーはスーパー参加者です。中心にいるリーダーはホリエモンです。
今後、ホリエモンが不在でも事業プランが生まれ、ビジネスをメンバー同士が行うようになれば、「クラウド」に変化します。
キャッスル
軍隊やビジネス、教育といった分野で幅広く見受けられる。最も極端な例が世界各国の独裁者です。群衆に君臨する絶対君主のリーダーが存在し、リーダーから一方的にルールや規範が下され、その規範を破ることは許されません。
「NEW POWER」を読む前の私
グループの上にはリーダーがいて、「リーダーの指示にメンバーが従う」というのがリーダーシップだと思っていた。それ以外にリーダーシップの形があるとは思っていなかった。
「NEW POWER」の感想
「リーダーが表に立たない」「参加者がどんどんアレンジする」「参加者が主体性を持ってプラットフォームの一部を運営する」という新しいコミュニティの考え方には驚いた。昔とは違い、会社(プラットフォーム)が個人で簡単に作れる時代に突入する予感を感じた。
さらには、可能性として今後はプラットフォーム不在のコミュニケーションが生まれるかも知れない。個人情報がプラットフォームに保存されるのではなく、各自自分で持ち運べるようになるかもしれない。時代はどんどん進化していて、今の自分には想像できない未来がまた生まれるだろうと思いました。
436ページもあってとても分厚い本です。キリスト教や銃社会、人種や格差など、アメリカの社会背景を分かっていないと、本の内容は難しく感じるかも知れません。
「NEW POWER」から得た気付き
人々は「参加したい」「つながりたい」「社会に貢献したい」「自己実現したい」という潜在的な欲求があり、その潜在的なニューパワーを上手に使えば、自分の作りたいと思うプラットフォームを作れたり、ビジネスを大きくするチャンスをつかめたりする。
でも、ニューパワーの扱いはとても難しい。ニューパワーは意図して思い通りの方向に向かわせようとしてもコントロール出来ないことが多い。
ニューパワーを使ったコミュニティは、3つの当事者のバランスがとても大切。スーパー参加者の貢献のおかげでプラットフォームの価値が高くなることもあるが、いったんオーナーとスーパー参加者との関係がこじれると、プラットフォームが閉鎖に追い込まれることもある。
ニューパワーは、人々の「参加したい」「行動したい」という気持ちを促して、本人自らが自主的に動くように誘導する必要があり、上から命令したり強要しても群衆は動かない。
「NEW POWER」を読んだ後のTODO
・情報発信を続ける